「自分がいないと回らない」は経営の失敗だと気づいた話
正直に言う。つい最近まで、「自分が動いた方が早い」と思って動き続けていた。
SUGAR&SPICEを開業したのが2021年。あれから5年が経って、今はMimiもユメヲカケル!も加わって、スタッフもキャストさんも増えた。数字の上では「成長している」と言えるかもしれない。
でも先月、ある出来事があった。
イベントの準備で自分が動けない日があって、スタッフに任せてみたんです。「たぶん何か抜けるだろうな」と思いながら。ところが、当日はなんの問題もなく終わった。むしろ自分が関わった時より、現場の雰囲気がよかったという話を後から聞いた。
……正直、複雑な気持ちだった。
嬉しいんだけど、ちょっと寂しい。「自分がいないと」って思いたい部分が、どこかにあったんだと思う。それは経営者としての成長じゃなくて、ただの自己満足だった。
経営者の仕事は「仕組みを作ること」だと、頭ではわかっていた。でも実際には、自分が動くことで「コントロールしている感覚」を得ていたんだと思う。それって、スタッフやキャストさんの成長を信頼していなかったということでもある。
稼げるコンカフェより、キャストが辞めたくないコンカフェを作りたいと言い続けてきた。でも「辞めたくない」って思ってもらうためには、ちゃんと任せて、ちゃんと信頼することが必要だった。任せないままでは、居場所じゃなくて、ただの作業場になってしまう。
大須コンセプトショップ協会の活動でも、他の店舗オーナーさんと話していると、同じ悩みを持っている人が多い。「自分がいないと不安」という感覚。これ、たぶん規模に関係なく、経営者が一度は通る場所なんじゃないかと思う。
今、自分がやろうとしているのは、「自分がいなくても回る構造を、焦らず丁寧に作ること」。具体的には、判断の基準をもっと言語化して、スタッフが迷った時に「あ、こういう時は健人さんならこう考えるな」って思えるようにすること。
ただ、これが難しい。自分の判断軸って、自分では無意識になっている部分が多くて、言葉にしようとすると意外とうまく出てこない。今もまだ途中。
完成した話じゃないし、うまくいくかもわからない。でも「自分がいないと回らない」を手放すことが、スタッフへの、キャストさんへの、ちゃんとした信頼だと思ってる。
それがやっと、体感としてわかってきた。頭でわかるのと、腹でわかるのは、全然違う。

