2026.08.17

「好かれる店」じゃなく「信頼される店」を作りたい理由

正直に言う。コンカフェを始めたとき、俺は「稼げる店」を作ろうとしていなかった。

2021年にSUGAR&SPICEを開業して、今年で5年目に入る。気づけばMimi、ユメヲカケル!と3店舗になって、アイドル事業まで動いている。傍から見れば「うまくいってる経営者」に映るかもしれない。でも内側はずっと、試行錯誤の連続だ。

俺がこの業界に飛び込んだとき、一番気になったのは「キャストの消耗」だった。

働く子たちが、すり減りながら笑顔を作っている場面を何度か目にした。お客さんには伝わらない。でも経営者には見える。あの空気が、俺はどうしても嫌だった。

だから最初に決めたのは、「キャストが辞めたくない店を作る」ということ。売上よりも先に、この軸を置いた。

当然、最初はうまくいかないことも多かった。仕組みが整っていなかった時期は、俺が現場に入りすぎて、逆に混乱を生んだこともある。「代表がいないと動けない店」を作ってしまっていた時期がある。それは完全に俺のミスだった。

経営者の仕事は、自分がいなくても回る構造を作ること。今はそう信じている。だから俺はできるだけ舞台裏で動く。表に出るより、仕組みを整える側に徹する。

ただ、「信頼される店」って、何なんだろうとたまに考える。

答えは一つじゃないと思う。でも俺の中での答えは「裏切らないこと」だ。お客さんに対しても、キャストに対しても。

「楽しかった」で終わる体験は、どこでも作れる。でも「ここなら安心できる」という感覚は、積み重ねでしか生まれない。その積み重ねを、3店舗それぞれで地道に続けている。

大須という街も、実はそういう空気を持っている。派手さもあるけど、ちゃんと根っこに「商人の誠実さ」みたいなものがある。俺はその街に育ててもらっている感覚がある。

コンカフェ総合支援の「八咫烏舎」を立ち上げたのも、結局は同じ理由だ。業界全体がよくならないと、個別の店だけが良くても限界がある。だから同業者と連携する。大須コンセプトショップ協会の活動もそこにつながっている。

哲学とか信念とか、そんな大きな言葉を使うのは少し照れくさい。でも5年続けてきて思うのは、「軸がないと、どこかで必ずブレる」ということだ。

今日も名古屋のどこかで、うちのキャストたちが笑っている。その笑顔が本物であるように。それだけを、引き続き考え続けていく。