2026.07.27

「好かれる店」じゃなくて「信頼される店」を作りたい理由

正直に言う。コンカフェは「雰囲気商売」だと思われがちだ。

かわいいキャストがいて、内装がおしゃれで、SNS映えして。それだけで人が来る、みたいな。でも僕はその考え方に、ずっと違和感を持ってきた。

2021年にSUGAR&SPICEを開業してから5年。今は大須エリアでMimi、ユメヲカケル!と3店舗を運営している。来てくれるお客さんの顔も変わってきたし、キャストも増えた。規模が大きくなるほど、自分の「哲学」みたいなものを問い直す機会も増えた。

で、今の自分が一番大切にしていること。それは「信頼される店を作る」ということだ。

好かれることと信頼されることは、全然違う。

好かれるのは、その瞬間だけでいい。笑顔があれば、雰囲気が良ければ、それでいい。でも信頼されるには、時間がかかる。言ったことを守る積み重ねが必要で、見えないところでの誠実さが問われる。

数年前、あるキャストの子から「ここは他のお店と違う」と言われたことがある。何が違うのか聞いたら、「困ったとき、ちゃんと話を聞いてもらえる気がする」という答えが返ってきた。すごくシンプルな言葉だったけど、それが僕には刺さった。

キャストが辞めたくないと思える職場を作る。それが僕の経営の軸だ。稼げる店じゃなくて、居たい場所を作る。なぜかというと、居たいと思って働いている人がいる場所には、自然とお客さんも居たくなるからだ。

もちろん、うまくいかないことだらけだった。

ルールを決めたのに運用が甘くなった時期もある。キャストの不満を後回しにして、表面だけ取り繕ったこともある。失敗してから「やっぱり最初に向き合うべきだった」と反省することの繰り返しだった。

そういう経験があるから、今は「仕組みで解決する」ことを意識している。僕が現場にいなくても、キャストが安心して働けて、お客さんも気持ちよく過ごせる構造を作る。経営者の仕事は、自分が動くことじゃなくて、動かなくても回る仕組みを設計することだと思っている。

コンカフェという業界は、まだまだ「一発当てたい」という空気が強い。話題になる仕掛けを打って、バズらせて、次へ。そのサイクルを僕は否定しないけど、それだけじゃ続かないとも思っている。

大須という街で商売をして、地域の人たちと関わって、コンセプトショップ協会の理事としていろんな経営者と話してきた。長く残っている店には、どこかに「軸」がある。流行に乗るだけじゃない、自分たちが信じている何かがある。

うちの3店舗も、まだその途中にある。完成なんてない。

ただ、5年前に「信頼される店を作る」と決めたことは、今も変わっていない。それだけは、ぶれていない。

それが今の僕の、全部だ。