2026.06.29

「好かれる店」より「信頼される店」を作りたい、その理由

42歳になって、ようやく自分の経営哲学が言語化できてきた気がする。

「繁盛してる店」と「信頼されてる店」は、実は別物だ。

コンカフェ(コンセプトカフェ)という業態を知らない人に説明すると、テーマやキャラクターを持ったスタッフが接客してくれる、ちょっと特別な空間の喫茶店みたいなもの、と言えばわかりやすいかもしれない。

僕が2021年に最初の店「SUGAR&SPICE」を大須で開けた時、正直ビジネスとしての勝算より「作りたい場所の形」が先にあった。製造業の経営者として10年以上やってきたくせに、なんかそっちの直感で動いてしまったんよね。

最初の1年は本当にしんどかった。

キャストが辞めていく。理由を聞くと「なんとなく不安で」という答えが返ってくる。その「なんとなく」の正体を探るのに、かなりの時間がかかった。

たどり着いた答えは、「仕組みがないから不安なんだ」ということだった。

シフトの決め方、困った時の相談窓口、トラブル時の対応フロー。そういう「当たり前の土台」が何もなかった。僕が製造業でやってきた現場管理の感覚が、完全に抜け落ちていた。恥ずかしい話だけど、これが最初の大きな失敗だった。

そこから僕の軸が変わった。

「稼げるコンカフェより、キャストが辞めたくないコンカフェを作ろう」と決めた。

キャストが安心して働ける環境があれば、その安心はお客さんにも伝わる。居心地のいい空間は、スタッフの「余裕」から生まれると思ってる。追い詰められた人間が、人を癒せるわけがない。

今は「Mimi」「ユメヲカケル!」と3店舗になった。コンカフェ総合支援会社「八咫烏舎」も立ち上げ、大須コンセプトショップ協会の理事としても動いている。アイドル事業まで手を広げた。

正直、広げすぎかなと思うこともある。

でも一貫してるのは「自分がいなくても回る仕組みを作る」という考え方だ。経営者が現場に張り付いてる限り、それはビジネスじゃなくて個人商店に過ぎない。僕の役割は、仕組みを設計して、あとは信頼できる人たちに任せることだと思ってる。

舞台の前に出るより、舞台を作る側でいたい。そっちの方が性に合ってる。

きれいごとを言うつもりはないけど、キャストのみんながいてくれて初めて、この場所は存在できてる。それは本当のことだ。感謝、という言葉が軽く聞こえるくらい、毎日助けられてる。

お客さんへの想いも同じで、「また来たい」と思ってもらうより「ここは信頼できる」と思ってもらいたい。

6月最終週の月曜日、こんなことを考えながらコーヒーを飲んでる。まだ答えなんて出てないけど、考え続けることをやめたくないと思ってる。