2026.07.13

「好かれる店」より「信頼される店」を作りたい、その理由

正直に言う。コンカフェを始めた頃、俺は「繁盛する店」を作ろうとしていた。

でも今は違う。「信頼される店」を作ることだけを考えている。

この2つ、似ているようで全然違う。

繁盛する店は、お客さんが来てくれれば成立する。でも信頼される店は、キャストが「ここで働いていてよかった」と思えて、初めて成立する。そこに気づくのに、開業から1年以上かかった。

2021年にSUGAR&SPICEを開いたとき、俺は製造業の経営者だった。いや、今もそうだ。モノを作って売る世界では、品質と納期がすべて。感情はあまり表に出ない。

でも、コンカフェは違った。

キャストの子たちが笑顔でいられるかどうかが、そのまま店の空気になる。無理をしている笑顔は、お客さんに伝わる。それを目の当たりにして、「あ、ここは製造業と同じ論理では動かないんだ」と気づいた。

キャストが安心して働ける環境を作ること。それが最初の、そして今も変わらない一番の仕事だと思っている。

失敗も、たくさんした。

Mimiを出したとき、「仕組みさえ整えれば回る」と思っていた。マニュアルを作って、シフトを組んで、数字を見て。でも途中でキャストの子が一人、ぽろっと言ったんだ。「なんか、ここって事務的だなって感じることがあります」って。

それが刺さった。

俺は「自分がいなくても回る構造」を作ろうとするあまり、温度を抜いてしまっていた。仕組みは大事。でも、仕組みだけでは人は動かない。

それ以来、できるだけ店に顔を出すようにした。ただし、主役はキャストだから、俺はあくまで舞台裏にいる。存在感は出さない。でも、ちゃんとそこにいる。それが今の自分のスタンスだ。

ユメヲカケル!をオープンしたとき、改めて思ったことがある。

コンカフェって、「夢を語れる場所」だと思う。キャストの子にとっても、来てくれるお客さんにとっても。誰かの夢が交差する場所。それがうまくいっているとき、店は本当にいい空気になる。

でも、その夢を守るのは経営者の仕事だ。きれいごとを言うだけでは守れない。ちゃんと稼いで、ちゃんと払って、ちゃんと安全を確保する。地味だけど、それが全部。

大須という街で3店舗をやっていると、同業の方々とも話す機会が増えた。大須コンセプトショップ協会の活動もそうだし、八咫烏舎での支援もそうだ。

業界全体を底上げしたいという気持ちは本物だ。でも、まず自分の店がちゃんとしていないと、何も言えない。

だから今日も、「キャストが辞めたくない店」を作ることだけを考えている。

それが結果的に、お客さんにとっても「また来たい店」になると信じているから。