2026.09.28

「好かれる店」より「信頼される店」を作りたい、その理由

結論から言う。俺がコンカフェをやっている理由は、「稼ぎたいから」じゃない。

「ここにいると安心できる」という場所を作りたいから、だ。

2021年にSUGAR&SPICEを開業したとき、正直なことを言うと、コンカフェ業界のことをよく知らなかった。製造業の経営者として長年やってきた自分が、なぜかサブカルチャーの世界に飛び込んだ。周囲には「何を考えているんだ」と言われた。自分でも、半分そう思っていた。

でも実際に店を動かし始めて、気づいたことがある。

この業界には、キャストさんが「辞めたい」と思いやすい構造が、割と普通に存在している。長時間労働、曖昧なルール、守られない約束。キラキラした見た目の裏側に、疲弊した人がいる。それを目の当たりにしたとき、俺はシンプルに「それは嫌だ」と思った。

だから今も、一番大切にしているのはキャストさんが「辞めたくない」と思える環境を作ること、それだけだ。

売れる店を作ることより、続けられる店を作ること。これが俺の経営哲学の核心にある。

具体的な話をする。以前、あるキャストさんが体調を崩して、シフトを長期で外れたことがあった。普通なら「穴が空く」と焦る場面だ。でも俺は、その子に「ゆっくり休んで」としか言わなかった。周りのスタッフも同じ対応をしてくれた。

その子が戻ってきたとき、「ここが一番安心できる職場です」と言ってくれた。その一言が、俺が目指しているものの答えだと思った。

信頼は、積み上げるのに時間がかかる。でも崩れるのは一瞬だ。

お客さんとの関係も同じだと思っている。「また来たい」と思ってもらえる店というのは、派手な仕掛けより、毎回ちゃんとした対応が積み重なっている店のことだ。華やかさよりも、誠実さ。これは製造業の現場でも学んだことと、実は同じだった。

今、名古屋の大須でSUGAR&SPICE、Mimi、ユメヲカケル!の3店舗を運営しながら、アイドル事業やイベント企画も動かしている。傍から見れば「うまくいっている」ように見えるかもしれない。

でも正直、毎日何かしらで悩んでいる。スタッフとのすれ違い、判断を間違えたと後から気づくこと、もっとこうしていればと思う瞬間。そういうものが、普通に積み重なっている。

経営者として一番大事だと思っていることは、「自分がいなくても回る仕組みを作ること」だ。俺が現場に毎日いなくても、キャストさんもスタッフも、お客さんも、安心していられる構造。それが本当の意味での「信頼される店」だと思っている。

まだ、完成していない。でも、向かっている方向は間違っていないと信じている。

それだけを、今日も確認しながらやっている。