「自分がいないと回らない」は経営者の自己満足だった
ずっと気づかないふりをしていたことがある。
「自分がいないと店が不安」という感覚を、責任感だと思っていた。でも最近、それはただの依存だったと気づいた。
先月、どうしても外せない用事が重なって、3店舗すべてに顔を出せない日が続いた週があった。正直、内心ずっとソワソワしていた。スマホを何度確認したかわからない。
でも、何も起きなかった。
キャストたちは普通に仕事をして、お客さんは楽しんで帰っていった。むしろ、翌日に聞いてみると「いつもより話しやすかったかも」なんて声まであって、少し笑えなかった。
これが気づきの入り口だった。
「自分がいると場が引き締まる」と思っていたのは、完全に自分目線の話だった。お客さんにとっては、キャストが笑顔で楽しそうにしていることの方がずっと大事で、経営者がいるかどうかなんて関係ない。当たり前のことなのに、見えていなかった。
SUGAR&SPICEを2021年に始めてから、ずっと「仕組みを作る」と口では言ってきた。でも実態は「自分が目を光らせることで品質を保つ」という属人的な構造から抜けられていなかった。Mimiもユメヲカケル!も増えるにつれて、その綻びが少しずつ出てきていた。
じゃあ何が変わったか。
最近やったのは「自分が判断していたことを棚卸しする」という作業だ。「これ、誰かが決めてよかったのに自分が介在していたな」という場面を書き出してみると、かなりの量になった。シフトの微調整、イベント備品の発注、SNS投稿の最終確認…全部ではないけれど、かなりの部分が「自分じゃなくてもよかった判断」だった。
キャストやスタッフを信頼すると言いながら、決定権を渡していなかった。それは信頼じゃなくて、監視だったのかもしれない。
稼げる店より、キャストが辞めたくない店を作りたいと思っている。その言葉は今も本気だ。でも「辞めたくない」の理由が「オーナーが守ってくれるから」じゃなくて、「自分たちで動ける環境があるから」になっていく方が、絶対に長続きすると思っている。
完全に任せることへの怖さは、まだある。正直に言うと。
でも、自分がいないと回らない店は、自分が倒れたら終わりの店だ。それはキャストにとっても、お客さんにとっても不安定な場所になってしまう。
42歳になって、ようやくそこを腹落ちで理解してきた気がする。遅いかもしれないけど、気づいたなら今日から変える。それだけだと思っている。

