現場で起きた「小さなこと」が、実は全部大事だった話
今日、久々に昼間から店に入った。
SUGAR&SPICEの仕込み時間帯。キャストたちが開店前の準備をしている時間帯に、ふらっと顔を出した形だ。
別に何か用事があったわけじゃない。なんとなく、現場の空気が吸いたくなっただけ。
そしたら、ひとりのキャストが黙々とメニューボードを拭いていた。誰に言われたわけでもなく、ただ汚れに気づいて、勝手にやってた。
「あ、気づいたんだ」って声をかけたら、「なんか昨日からちょっと気になってて」って言う。
そういう瞬間に、すごくほっとする。
経営者として仕組みを作ることは大事だと思ってる。マニュアルも必要だし、ルールも要る。でも、マニュアルに「ボードが汚れてたら拭け」なんて書いてない。そういうことに自分で気づいて動ける人が現場にいることが、店の本当の力だと思う。
午後になって、Mimiのほうに移動した。
そこでは、ちょっとしたトラブルがあった。常連さんと新規のお客さんが同じテーブル周辺でぶつかって、空気がちょっとだけ重くなる瞬間があったらしい。詳しく書くのは控えるけど、要はテーブルの優先順位の認識がズレていた感じ。
キャストが僕に報告してくれたとき、「どうすればよかったですか?」って聞いてきた。
正直、これは難しい。僕も「これが正解」って言い切れなかった。
どんな常連さんも大事だし、初めて来てくれた人も同じくらい大切にしたい。でも現実には、空間のバランスがあって、全員が最高に気持ちよくいられる瞬間ってのは、作ろうとして作れるものじゃない。
「次同じことが起きたら、こう動いてみて」って話はした。でも、それで完璧に解決するとも思ってない。
現場って、そういうものだと思う。
マニュアルで防げることと、防げないことがある。防げないことが起きたとき、どう対応するかでその場の質が決まる。そしてそれは、結局キャストひとりひとりの判断力と胆力によってる。
だから僕は、キャストが辞めたくない環境を作ることにこだわってる。
人が育つには時間がかかる。その時間を一緒に過ごせる環境がなければ、何も積み上がらない。
ユメヲカケル!にも顔を出して、夜の開店まで少し話した。
「最近、どう?」って聞いたら、「楽しいです。でも、まだ慣れてないことも多くて」って返ってきた。
慣れてないことがある、って正直に言えることが、もう大事なことだと思う。できないふりをしないやつは強い。
今日一日、現場にいて気づいたのは、「うまくいってること」より「うまくいってないこと」のほうが、実は現場を動かしてるってことだった。
気になって拭いたボードも、うまく対応できなかったかもしれないトラブルも、慣れてないって言えた正直さも、全部ひっくるめてリアルな現場だ。
きれいな部分だけ見せたくなる気持ちはある。でも、そっちには向かわない。
そういう店を作りたいし、そういう経営者でいたいと思ってる。

