現場で起きた「小さな本音」が、経営者の背筋を伸ばす
昨日、珍しく三店舗を全部回った。
SUGAR&SPICE、Mimi、ユメヲカケル!。大須の路地を歩き回って、それぞれの店をのぞいて、スタッフたちの顔を見て。そういう日って、必ず何かを拾って帰れる。
最初に入ったのはSUGAR&SPICEだった。
ランチ前の準備時間に顔を出したら、ベテランのキャストが新人に接客の流れを教えていた。マニュアルには書いていないことを、自分の言葉で。しかもすごく丁寧に。
俺はしばらく離れたところで黙って見ていた。
「これ、俺が教えたことじゃないな」と思った。自然と店の文化が受け継がれていた。正直、じーんとした。照れくさいから誰にも言わなかったけど。
Mimiに移動したら、今度はちょっとヒヤリとする場面があった。
お客さんの一人が少し強引な感じで話しかけていて、担当のキャストが笑顔のまま固まっていた。気づいたスタッフがさりげなく間に入って、うまく流していた。終わったあとにそのキャストに「大丈夫だった?」と声をかけたら、「ちょっとしんどかったです」と正直に言ってくれた。
これが言えるかどうかが、本当に大事だと思っている。
「しんどかった」を言えない空気の店は、いつか壊れる。言えた、ということ自体が店の健康状態だと俺は思っている。でも同時に、そういう状況をそもそも作らない仕組みが足りていなかった、という反省もある。まだまだだな、と感じた。
ユメヲカケル!に着いたのは夕方近くだった。
ちょうどシフト交代のタイミングで、出勤してきたキャストが私服のまま「お疲れ様です!」と元気よく入ってきた。その顔が、すごく明るくて。「あ、この子、仕事好きなんだな」って伝わってくる表情だった。
好きで来てくれている。それだけで十分すぎる。
三店舗を回り終えて、大須の商店街を歩きながら思った。
俺が経営者として一番やりたいことは、「自分がいなくても現場が回る仕組みを作ること」だ。そう言い続けてきた。でも昨日みたいに現場を歩くと、まだ自分が見ておかないと気づけないことが山ほどあるとわかる。
仕組みと、現場感覚のバランス。これをどう保つかは、今も答えが出ていない。
綺麗な経営論より、昨日の「しんどかったです」という一言の方が、よっぽど大切なことを教えてくれる。
キャストたちが本音を言える店であり続けること。それだけは、どんなに規模が大きくなっても譲れない。
今日もまた、現場に教えてもらいながら動く。それが俺の経営の実態だ。

