2026.05.02

製造業から始まった、僕の「人を大切にする」経営哲学

「人を大切にする経営」って言葉、よく聞きますよね。でも僕がそれを本当に理解したのは、製造業時代の失敗からでした。

今でも鮮明に覚えています。入社3年目の頃、生産効率を上げることばかり考えていた僕は、現場のベテランさんの意見を聞かずに新しいシステムを導入しました。結果は散々。品質は下がるし、現場は混乱するし。

その時、そのベテランさんに言われた言葉が今でも心に刺さっています。「佐野くん、仕組みは大事やけど、それを動かすのは人やで。人の気持ちが分からんかったら、どんなええ仕組みも意味ないよ」

その日から、僕の考え方は180度変わりました。毎朝現場を回って、一人ひとりと話すようになった。困っていることはないか、改善したいことはないか。最初は警戒されていたスタッフも、だんだん本音を話してくれるようになりました。

製造業で20年近く経験を積む中で、僕なりの経営哲学ができあがっていきました。それは「働く人が幸せじゃないと、いい商品もサービスも生まれない」ということ。

2021年にSUGAR&SPICEを開業した時も、この考え方は変わりませんでした。むしろ、コンカフェという業界だからこそ、キャストさんの安全と働きやすさを最優先にしたかった。

正直、最初は戸惑いの連続でした。製造業とサービス業では全然違う。お客さんとの距離感、キャストさんのモチベーション管理、トラブル対応。毎日が勉強でした。

特に印象深いのは、開業から半年後のこと。一人のキャストさんが突然辞めたいと言ってきました。理由を聞いてみると、他のお店の方が時給が高いから、と。

その時は正直ショックでした。でも、彼女ともう一度じっくり話をしてみると、実は職場の人間関係に悩んでいたことが分かりました。時給の話は建前で、本当は居場所がないと感じていたんです。

そこから、僕たちは定期的な個別面談を始めました。売上の話じゃなく、今の気持ちや困っていることを聞く時間。これが思った以上に効果的でした。

今、3店舗を運営していますが、この「人を大切にする」という軸はブレていません。もちろん、きれいごとだけじゃ経営は成り立たない。利益も必要だし、効率も考えなければならない。

でも、製造業時代に学んだことは確実に活かされています。働く人が安心して、楽しく働ける環境を作れば、自然と結果はついてくる。

42歳になった今、僕は経営者として「仕組みを作る人」でありたいと思っています。でも同時に、一人ひとりの顔が見える距離感も大切にしたい。

製造業からコンカフェへ。業界は変わったけれど、人を大切にする気持ちは変わらない。これからも、その想いを軸にして歩んでいきます。