製造業からコンカフェまで-転機を振り返る夜
経営者として20年以上歩んできて、人生の転機というのは意外と後から気づくものだと思います。2021年にSUGAR&SPICEを開業してから5年が経った今、製造業時代から今日までの道のりを振り返ると、全てが必然だったような気がしています。
製造業での20年間が教えてくれたこと
老舗製造業の世界は、品質と信頼が全てでした。一つのミスが会社の信用を失墜させる緊張感の中で、私は「お客様の安全を最優先にする」という価値観を身につけました。当時は気づかなかったのですが、この考え方が今のコンカフェ経営の根幹になっています。
製造業では「現場の声を聞く」ことが何より重要でした。工場のラインで働く人たちの意見に耳を傾け、彼らが安心して働ける環境を作ることが、結果的に良い製品に繋がる。これって今、キャストさんたちとの関係性と全く同じなんです。
大須との出会いが変えた私の視点
転機が訪れたのは2020年頃でした。たまたま大須を歩いていて、若い人たちが楽しそうに過ごしている姿を見て、「この街には何か特別なエネルギーがある」と感じたんです。製造業一筋だった私には新鮮な驚きでした。
その頃、コンセプトカフェという業界について調べ始めました。正直、最初は「よくわからない世界」でした(笑)。でも深く知るうちに、「お客さんに特別な時間を提供する」「働く人たちの個性を大切にする」という本質的な部分に強く共感したんです。
SUGAR&SPICE開業-不安と手応え
2021年4月、SUGAR&SPICEをオープンした時の緊張は今でも覚えています。製造業とは全く違う業界で、本当に通用するのか。毎晩、数字とにらめっこしながら「これで大丈夫なのか」と自問自答していました。
でも、キャストさんたちが一生懸命お客さんに向き合う姿を見ていると、「ああ、これは製造業と同じだ」と気づいたんです。良いものを作るには、働く人が安心していられる環境が必要。お客さんに喜んでもらうには、まずスタッフが輝いていなければならない。
3店舗になった今思うこと
Mimiとユメヲカケル!が加わって、今では3店舗を運営しています。八咫烏舎として他の店舗さんの支援もさせていただく中で、改めて思うのは「人とのつながりの大切さ」です。
製造業時代は、どちらかといえば機械や数字と向き合うことが多かった。でも今は毎日、キャストさんやお客さん、地域の方々との関わりの中で仕事をしています。41歳になって、こんなにも人間関係の豊かさを感じられるなんて思いませんでした。
失敗もたくさんありました。最初の頃は製造業の感覚で効率化ばかり考えて、キャストさんたちの気持ちを置き去りにしてしまったこともあります。でもその都度、素直に話し合いを重ねて、一緒に店を作り上げてきました。
大須という街で、全く異なる業界に飛び込んだ5年間。振り返ると、私の核となる「安全第一」「現場の声を大切にする」という価値観は変わっていません。ただ、それを表現する場が変わっただけ。そう思えるようになった今、次はどんな展開が待っているのか、正直楽しみでなりません。

