2026.05.18

「稼げる店」より「辞めたくない店」を目指す理由

コンカフェ経営で一番大切にしていることは何かと聞かれたら、迷わず「キャストが辞めたくないと思える環境づくり」と答える。売上も集客も大事だけど、それは結果でしかない。本質は働く人が安心して自分らしくいられる場所を作ることだと思っている。

2021年にSUGAR&SPICEを開業した頃、僕は完全に勘違いしていた。「お客さんに喜んでもらえれば、売上が上がれば、それで成功」だと思っていた。でも現実は違った。キャストさんが無理をして笑顔を作り続けることの限界を、僕は何度も目の当たりにした。疲れ切った表情で「もう続けられません」と言われた時の悔しさは今でも忘れられない。

その時気づいたんだ。僕が作りたいのは「好かれる店」じゃなくて「信頼される店」なんだって。お客さんからも、キャストからも、地域からも信頼される場所。そのためには短期的な利益を追うより、長期的な関係性を築くことの方がよっぽど大切だった。

具体的には、キャストさんの体調や精神面を最優先にした勤務体制を組んでいる。無理なシフトは絶対に組まない。嫌なお客さんがいたら遠慮なく相談してもらう。そして何より、「今日は調子悪いから休みたい」という言葉を大切にしている。

正直、これは経営的にはリスクもある。急な休みでお客さんにご迷惑をかけることもあるし、売上機会を逃すこともある。でもそれ以上に得られるものが大きい。キャストさんが長く働き続けてくれることで、お客さんとの関係も深まる。結果的に、リピーターさんが増えて安定した経営につながっている。

Mimi、ユメヲカケル!と店舗を増やしてきたのも、この哲学があったからこそ。各店舗で働くキャストさんたちが、お互いを支え合える仲間でいてほしいと思っている。困った時は他店舗のキャストに相談できるし、体調不良の時はフォローし合える。そんな横のつながりを大切にしている。

コンカフェ業界は正直、まだまだ偏見を持たれることが多い。でもそれを変えていくのは僕たち経営者の責任だと思っている。キャストを大切にし、お客さんとの健全な関係を築き、地域に愛される店を作ること。それが業界全体の地位向上につながると信じている。

八咫烏舎や大須コンセプトショップ協会での活動も、この延長線上にある。一店舗だけが良くなっても意味がない。エリア全体、業界全体が良くなっていかないと、本当の意味での成功とは言えない。

経営者の仕事は「仕組みを作ること」だと思っている。僕がいなくても店が回り、キャストさんが安心して働き続けられる環境を作ること。それが僕の使命であり、やりがいでもある。まだまだ完璧じゃないけど、今日も一歩ずつ前に進んでいきたい。