2026.06.24

「自分がいなくても回る」は、逃げじゃなくて愛だと気づいた話

ずっと勘違いしていたことがある。

「自分がいなくても回る店を作る」という目標を持ちながら、心のどこかで「でも自分がいた方がうまくいく」と思っていた。それはたぶん、自信じゃなくて不安だった。

先週、SUGAR&SPICEのスタッフから「最近、オーナーがいない時間の方が動きやすい感じがしてきました」と言われた。最初、正直ちょっとだけ寂しかった。でもすぐに気づいた。それは最大の褒め言葉だって。

思い返せば、2021年に最初の店を開けた頃は、自分が全部決めないと気が済まなかった。シフト調整も、イベントの細かい段取りも、キャストのトラブル対応も。全部自分の目で確認して、自分の声で指示して。それが責任感だと思っていた。

実際は違った。ただの「手放せない病」だった。

3店舗になって、物理的に全部は無理になった。Mimiもユメヲカケル!も同時に動いているし、SUGAR SPIRAL LIVEの全国ツアーの準備もある。イベントも重なる。そうなってやっと、「仕組みに任せる」という選択肢が本物になった。

気づいたのは、仕組みを作ることって、信頼の言語化だということ。

「こういう時はこう動いてほしい」を言葉や手順に落とし込む作業は、スタッフへの信頼を形にする作業そのものだった。逆に言うと、仕組みを作れていないということは、まだ信頼を言葉にできていないということでもある。

今も完全にできているわけじゃない。つい口を出したくなる場面はある。「こっちの方が早い」と思って手を出しそうになる瞬間もある。でもそこをぐっと我慢して、スタッフが考える余白を残す。それが今の自分の仕事だと思っている。

もう一つ、最近気づいたこと。

経営者が「舞台裏で動く」というのは、黒子に徹するという意味じゃない。店の空気や文化を作る人間として、見えないところで設計し続けるということだ。キャストさんが「この店で働いてよかった」と思える瞬間を増やすために、表には出ない部分で考え続ける。それが自分の役割だと腹落ちしてきた。

稼げる店よりも、キャストが辞めたくない店を作りたいという気持ちは、開業当初からずっと変わっていない。でもそのために何をするかは、ずっとアップデートし続けている。

「自分がいなくても回る」は、逃げでも無責任でもない。それは、スタッフへの最大のリスペクトだ。

まだ途中だけど、そう思えるようになってきた。42歳、ようやく。