「好かれる店」より「信頼される店」を目指す理由、正直に話します
結論から言う。僕がコンカフェを経営する上で一番大切にしていることは、「稼げる店を作ること」じゃない。「キャストが辞めたくない店を作ること」だ。
これ、言葉にすると綺麗に聞こえるんだけど、実際はめちゃくちゃ難しい。
2021年にSUGAR&SPICEをオープンしたとき、正直なことを言うと、最初は「どうすれば繁盛するか」ばかり考えていた。もともと製造業の経営者だったから、数字を追う思考が染み付いていたんだと思う。でも開業から半年も経たないうちに、あることに気づいた。
スタッフが疲弊している店は、お客さんにバレる。
言葉じゃなくて、雰囲気で。空気で。笑顔の奥にある何かで、人間って敏感に感じ取る。そこで僕の中の「方針」が大きく変わった。
お客さんに「また来たい」と思ってもらうためには、まずキャストが「また来たい」と思える職場じゃないといけない。順番がある。これは揺るがない。
だから今、三店舗それぞれのルールとして、キャストの安全を最優先にしている。嫌なお客さんへの対応は店が全部引き受ける。働き方の選択肢を複数用意する。「辞めたい」という声が出る前に、環境を整えることを考え続ける。完璧にできているとは言えない。でも、そこに向かっていることだけは確かだ。
もう一つ、自分の哲学として大切にしていることがある。
経営者は「仕組みを作る人」だと思っている。自分がいないと回らない店は、実は経営者が一番のボトルネックになっている状態だ。それは経営じゃなくて、ただの「個人の奮闘」だと思う。
SUGAR&SPICEを作り、Mimiを作り、ユメヲカケル!を作ってきた中で、失敗もたくさんした。スタッフへの伝え方を間違えて、大切な子に辞められたこともある。仕組みを整える前に規模を広げて、現場が混乱したこともある。そういう失敗を、僕は隠したくない。
なぜかというと、「失敗しない経営者」を演じることに意味を感じないから。それより、転んで立ち上がる過程を見せたほうが、一緒に働くキャストにとっても、お客さんにとっても、リアルに伝わるものがあると思っている。
大須というエリアで、コンカフェという文化を育てていく中で、僕が業界全体に対して思っていることもある。「稼げそうだから」という理由だけで参入して、キャストを使い捨てにする店が増えてほしくない。それだけだ。
好かれる店は、一時的に作れる。でも信頼される店は、積み重ねでしか作れない。
僕はまだその途中にいる。胸を張って「できました」と言える日が来るかどうかも、正直わからない。でも今日もそこに向かって、動き続けている。それだけは言える。

