「仕組みを作る」って言葉、ずっと誤解してた話
経営者は「仕組みを作る人」だと思ってた。今もそう思ってる。でも最近、その言葉の意味を全然わかってなかったことに気づいた。
大須でカフェを3店舗やっていると、毎日なにかが起きる。スタッフ間のちょっとした空気の変化、お客さんからのフィードバック、イベントの段取りミス。舞台裏で動くのが好きな性格だから、気づいたらぜんぶ自分で拾いにいってた。
「自分がいなくても回る構造」を目指してるはずなのに、どこかで自分が動くことで安心してた。
あるとき、スタッフのひとりに言われた。「健人さんが動くと、私たちが考える前に答えが出てくるんで、なんか考えるの止めちゃうんですよね」って。
ぐさっときた。笑えないくらい。
仕組みを作るって、「自分が動ける体制を作ること」じゃなかった。「自分がいなくても判断できる人を育てる環境を作ること」だったんだ。全然違う。
たとえばイベントの準備。以前は自分が細かいところまで確認して、指示を出して、安心して本番を迎えてた。でもそれって、スタッフが「佐野さんに聞けばいい」という状態を作り続けてただけ。
それに気づいてから、少しずつ変えてる。答えを出すんじゃなくて、「どう思う?」って聞くようにした。最初はぎこちなかった。スタッフも戸惑ってた。でも最近、SUGAR&SPICEのスタッフがお客さんのクレームを自分たちで対応して、ちゃんと丸く収めてた場面を見た。
報告を受けたとき、正直ちょっと寂しかった。でもそれ以上に嬉しかった。
これが「仕組み」なんだと思う。
稼げるカフェより、スタッフが辞めたくない場所を作りたいってずっと言ってる。でもスタッフが成長できない環境は、いつか息が詰まる。楽しさと成長がセットになってないと、長くは続かない。
キャストの安全を最優先にすることと、スタッフが自分で判断できる環境を作ることは、矛盾しない。むしろセットだと今は思ってる。
42歳になっても、経営の基本みたいなことで「あ、ちがってた」ってなる。恥ずかしいけど、こういう気づきが積み重なってるだけで、今の自分がある気がしてる。
完成形なんてないんだろうな。それでいいと思ってる、今は。

