「自分がいないと回らない」は、経営者の勘違いだった
正直に言う。つい最近まで、自分がいちばん必要だと思っていた。
3店舗を動かして、アイドル事業もやって、協会の仕事もある。スケジュールはいつもパンパンで、「俺が動かないと止まる」という感覚がどこかに居座っていた。
でも、先月ちょっとしたことがあった。
体調を崩して、2日間ほぼ何もできない日があった。連絡もろくに取れなかった。それでも、3店舗は普通に営業していた。スタッフが判断して、キャストが動いて、お客さんが来て、帰っていった。
何事もなかったように。
回った。
それが、正直ちょっとショックだった。いい意味で、だけど。
「自分がいなくても回る構造を作ること」と頭では言っていた。でも本音のどこかに、「自分がいないとダメでしょ」という気持ちがあったんだと思う。それが、あの2日間でぽきっと折れた。
たぶん、これが経営者の一番やっかいな勘違いだ。
「自分がいないと回らない」状態を、誰かへの不信任だとは思っていない。でも、構造として見たとき、それは脆い。体調ひとつ、事故ひとつで、すべてが止まる組織なんて、怖くて任せられない。キャストさんにとっても、お客さんにとっても。
2021年にSUGAR&SPICEを開けてから、ずっと「稼げる店より、辞めたくない店を作りたい」と言ってきた。それはキャストへの想いだったけど、実は「仕組み」の話でもあったんだと今は思う。
辞めたくない、と思ってもらえる職場って、属人的な熱量だけで作れるものじゃない。何かあっても、ちゃんとフォローされる。判断できる仕組みがある。安心して働ける構造がある。そういう土台があって初めて、「ここにいたい」と思ってもらえるんじゃないかって。
あの2日間、現場を回してくれたスタッフとキャストには、本当に頭が上がらない。何も言わなかったけど、あれは感謝の塊みたいな2日間だった。
まだまだ完成してない。判断を求めてくる場面はあるし、俺じゃないとわからない文脈も山ほどある。でも方向は間違ってなかった、とあの2日間が教えてくれた。
経営者って、目立ちたい人がなるものだと思ってた時期もある。でも最近は、できるだけ舞台裏に引っ込みたい。表で輝くのは、キャストさんとスタッフでいい。
自分がいなくても回る日を、もっと増やしていきたいと思っている。

