「好かれる店」より「信頼される店」を。それが俺の経営の軸
コンカフェをやっていると、よく聞かれることがある。「どうすれば流行る店になりますか?」って。
正直に言う。俺はその問いに、あまり興味がない。
流行ることと、信頼されることは、似ているようで全然違う。流行は一時的なものだ。でも信頼は、積み上げるのに時間がかかる分、そう簡単には崩れない。俺が目指しているのは、ずっと後者の方だ。
SUGAR&SPICEを開業したのが2021年。製造業の経営をしながら、まったく畑違いの世界に飛び込んだ。最初の数ヶ月は本当にひどかった。段取りは甘い、スタッフとのコミュニケーションも不慣れ、お客さんの期待に応えられていない場面も多かった。今でも恥ずかしい記憶がいくつもある。
でも、その失敗の中でひとつだけ早い段階でわかったことがある。「キャストが安心して働けない店は、長続きしない」ということだ。
当たり前のように聞こえるかもしれない。でも実際には、これを本当の意味で実践できている店は少ない。華やかに見える業界の裏側で、働く人たちが消耗していくケースを、正直なところ何度も見てきた。
俺が「稼げるコンカフェより、キャストが辞めたくないコンカフェ」を目指すのは、きれいごとじゃない。そっちの方が、結果的に店が強くなるという確信があるからだ。
人が定着すると、お客さんとの関係が深まる。関係が深まると、店の文化が育つ。文化が育つと、新しいお客さんが「ここには何かある」と感じて来てくれる。この循環が生まれると、店は本当の意味で地に足がついてくる。
Mimiもユメヲカケル!も、それぞれに個性がある。同じグループの店でも、空気感はまったく違う。それでいいと思っている。俺が全部をコントロールするより、それぞれの店の現場にいる人たちが「自分たちの店」として動いてくれている方が、絶対にいい店になる。
経営者の仕事は、仕組みを作ることだと俺は思っている。自分がいなくても回る構造を作ること。それが理想だ。まだ道半ばだけど、少しずつそこに近づいている感覚はある。
八咫烏舎でコンカフェの支援もしているし、大須コンセプトショップ協会の活動もある。アイドル事業のSUGAR SPIRAL LIVEもそうだ。どれも根っこにある考え方は同じで、「関わる人が誇りを持って続けられる場所を作ること」に尽きる。
業界が盛り上がることは嬉しい。でも、盛り上がれば盛り上がるほど、働く人たちへのケアがおろそかになるリスクも上がる。そこだけは、目を離したくない。
42歳になった今も、答えを持っているふりはしたくない。毎日、悩んでいる。でも「信頼される場所を作る」という軸だけは、ブレさせない。それが今の俺の言葉だ。

