2026.05.25

「稼げる店」より「続けられる店」を選んだ理由

コンカフェ経営で一番大切なのは売上じゃない。そう確信するまでに、僕は3年かかった。

2021年にSUGAR&SPICEを開業した当初、正直に言うと「とにかく稼げる店にしたい」という気持ちが強かった。製造業の経営者として数字の重要性は身に染みて分かっていたし、新しい事業である以上、結果を出さなければという焦りもあった。

でも、半年ほど経った頃だろうか。あるキャストさんが辞める時に言った言葉が今でも心に残っている。「ここは居心地が良くて、本当は続けたかったんです」と。その子は学業の都合で辞めることになったのだが、その時初めて気づいた。僕が目指すべきは「キャストが辞めたくない店」なんだと。

稼げる店を作るのは実はそんなに難しくない。短期的に見れば、キャストさんに無理をしてもらったり、お客さんに過度な期待を抱かせたりすれば数字は上がる。でもそれって持続可能じゃないんだよね。

僕が大切にしているのは「信頼の循環」だ。キャストさんが安心して働ける環境を作る。お客さんには誠実にサービスを提供する。その積み重ねが結果として長期的な成長につながる。今、3店舗を運営できているのも、この考え方があったからだと思う。

もちろん、きれいごとだけじゃやっていけない。経営者として数字を見ないわけにはいかないし、時には厳しい判断も必要だ。でも判断基準の軸は常に「これは長期的に良いことなのか」「関わる人みんなが幸せになれるのか」ということ。

八咫烏舎を立ち上げたのも、この考え方を業界全体に広げたかったから。一店舗だけが良くなっても意味がない。業界全体が健全に成長してこそ、みんなが長く続けられる環境が生まれる。

最近、新しいキャストさんから「ここで働けて良かった」と言ってもらえることが増えた。お客さんからも「居心地が良い」という声をよく聞く。数字以上に嬉しい瞬間だ。

経営者として完璧じゃないし、まだまだ迷うことも多い。でも「稼げる店より続けられる店」という軸だけは、これからもブレることはないだろう。それが僕なりのコンカフェ経営哲学だ。