2026.08.26

「自分がいないと回らない」は、経営者の失敗だと気づいた話

正直に言う。つい最近まで、自分がいないと不安だった。

店のことが気になって、休みの日もスマホを手放せない。キャストから連絡が来ると「自分が判断しなきゃ」と反射的に動いてしまう。それを「責任感」だと思っていた。でも違った。

あれは「手放せない病」だ。

先月、少し体調を崩して丸2日ほど動けない時期があった。SUGAR&SPICEもMimiもユメヲカケル!も、3店舗それぞれで何かしら動いている。普段なら「大丈夫か」と何度もチェックする。でもそのときは本当に無理で、ほぼ連絡できなかった。

で、どうなったか。

普通に回っていた。

スタッフが動いて、キャストが動いて、店が動いた。自分がいなくても。

それが正直、うれしいような、悔しいような、不思議な感覚だった。

経営をやっていると「自分が必要とされる感覚」に依存しやすい。特にゼロから作った店だと余計に。でもそれは経営じゃなくて、ただの「個人の頑張り」だと思う。個人の頑張りは、個人が倒れたら終わる。

経営者の仕事は、自分がいなくても動く仕組みを作ること。頭ではずっとわかっていた。でも体で理解したのは、今回が初めてだったかもしれない。

コンカフェという業態は、どうしても「人」への依存度が高くなる。キャストの個性がそのまま店の個性になる。それ自体はいいことだ。でも経営の仕組みまで「あの人頼み」になったら、店は不安定になる。

ここ1年で意識的に変えてきたのは、判断を渡すこと。細かい現場の決定権を、スタッフやキャストリーダーに少しずつ移していった。最初はうまくいかないこともあった。自分だったらこうしたのに、って思う場面もあった。でもそれを口に出さないようにした。

なぜなら、口を出すたびに「やっぱり佐野さんに聞けばいい」という空気が生まれるから。それが積み重なると、仕組みじゃなくて「佐野さん頼み」の店になっていく。

キャストのみんながいつも安心して働けているのは、自分の力じゃなくて、現場を支えてくれているスタッフたちのおかげだと今は本気で思う。

お客さんも、店に来るたびに「いい空気だな」と感じてくれているとしたら、それはキャスト一人ひとりが作っているものだ。自分はその環境を整える役割に過ぎない。

42歳、まだまだ学んでいる途中だ。

かっこいい経営論を語りたいわけじゃない。ただ、体調を崩して寝込んだ2日間で、自分の仕事の意味が少し変わった気がしている。それだけの話。