2026.10.22

手応えって、数字じゃなくて空気感で先にわかる

正直に言う。今、いい感じがしている。

「いい感じ」って曖昧で申し訳ないんだけど、経営をしばらくやってると、数字が出る前に空気で察知できるようになってくる。店の中の空気。キャストの表情。お客さんの帰り際の顔。そういうものが、数字より先に教えてくれる。

2021年にSUGAR&SPICEを開いてから、5年が経った。

あの頃は本当に、何もわからなかった。製造業の経営はそれなりに経験してきたつもりだったけど、「人が主役のサービス業」はまったく別物だった。マニュアルを整えても、キャストさんの笑顔は整えられない。仕組みを作っても、お客さんの心は仕組みで動かない。最初の1年なんて、毎週何かしら想定外のことが起きていた。

今は3店舗になった。Mimiもユメヲカケル!も、それぞれ違う個性を持って、それぞれのお客さんに愛されている。アイドル事業のSUGAR SPIRAL LIVEも全国を回るようになった。イベントも、音MABUSHIも推し撮りフェスもマルシェも、気づけばいろんな形で大須の街に根を張ってきた。

でも一番うれしいのは、「辞めたくない」と言ってくれるキャストさんが増えてきたことだ。

これは本当に、すごいことだと思っている。

飲食でも接客業でも、スタッフの離職は当たり前みたいに言われる。でも私はずっと、「稼げる店より、辞めたくない店を作りたい」と思ってきた。キャストさんが安心して働けない場所に、お客さんが本当に癒されるわけがない、と信じているから。

だから、安全管理には妥協しない。シフトの無理強いもしない。困ったことがあれば話せる空気を作ろうとし続けてきた。完璧にできているとは思っていない。今も課題はある。でも、方向性は間違っていなかったんじゃないか、と少しずつ思えてきた。

もう一つ、手応えを感じていることがある。

私が現場にいなくても、店が動くようになってきた。

経営者って、「自分がいないと回らない」状態を作りがちだと思う。私もそうだった。全部把握したくなる。全部決めたくなる。でもそれは依存であって、経営じゃない。「自分がいなくても回る仕組みを作ること」が経営者の本当の仕事だと、頭ではわかっていても、手放すのが怖かった。

今はようやく、その怖さと少し仲良くなれた気がする。

大須コンセプトショップ協会の理事として、街のことを考える時間も増えた。八咫烏舎として、他のお店の支援もするようになった。視野が広がるほど、自分の店が相対化される。それが、また次のアイデアを生む。

目標はまだ、途中だ。

ゴールテープが見えた気はしない。でも、走ってきた道が間違っていなかったとは、思えるようになってきた。

それで十分だ。今日のところは。