手応えって、数字じゃなくて空気感で最初にわかる
正直に言う。去年の自分には、今の景色が見えていなかった。
2021年にSUGAR&SPICEをはじめたとき、「うまくいく」という確信なんてなかった。製造業で培った経営の感覚は持っていたけど、コンセプトカフェという業態はまったく別物だった。スタッフが「キャスト」と呼ばれ、お客さんとの関係性がサービスの中心にある。そんな現場を、最初はほとんど手探りで動かしていた。
今は3店舗になった。Mimiもユメヲカケル!も、それぞれちゃんと「自分の顔」を持って動いている。
何が変わったって、いちばんは「自分がいなくても回る場面が増えた」こと。これが経営者として、いちばん嬉しい変化だと思っている。自分が舞台に立つより、仕組みを作る人間でいたい。それが最初からの考えだった。でも正直、最初の1〜2年は「私がいないと無理だ」という瞬間が何度もあった。それが少しずつ、少しずつ、変わってきている。
SUGAR SPIRAL LIVEの全国ツアーも走らせながら、イベントも複数動かしながら、それでも現場が崩れなかった。これは完全に、キャストのみんなと現場スタッフのおかげだ。私が「ありがとう」と言いたいのは、輝かしい実績の話じゃなくて、誰も見ていない準備の時間にきちんと動いてくれていることへの感謝だ。
ただ、きれいごとだけ書いても嘘になるから言う。
今でも悩みはある。店が増えれば、見えなくなる部分も増える。ひとりひとりのキャストに、昔みたいに細かく向き合えているかというと、正直難しくなってきている部分もある。「信頼される店」を目指しているのに、規模が大きくなることで信頼の密度が薄まる怖さ。これは今も頭の片隅にある。
大須コンセプトショップ協会の活動も、八咫烏舎でのコンカフェ支援も、やっていることが増えるほど「本当に大切にしたいもの」を見失わないようにしなきゃ、と思う。
目標は、でかい。数字では言わないけど、「これでいい」とは一度も思っていない。もっと多くのキャストが、ここで働いていてよかったと思える環境を広げたい。もっと多くのお客さんに、「好きな場所がある」と感じてもらいたい。
手応えって、数字で最初にわかるんじゃなくて、空気感でわかる。キャストが笑ってる時間が増えたとか、お客さんが常連になる前にすでにリラックスしているとか、そういうところに出る。
今の自分は、その空気感がちゃんと積み上がってきていると感じている。まだ道の途中だけど、間違った方向には歩いていないはずだと、そう思えている。それだけで、今日は十分だ。

