2026.05.30

製造業からコンカフェ経営へ。42歳で選んだ「未知への挑戦」

人生って、本当に何が起こるかわからない。

42歳の今、名古屋・大須でコンカフェを3店舗経営している自分を、10年前の自分が見たらきっと驚くだろう。製造業一筋だった僕が、まさかこの世界に足を踏み入れることになるなんて。

転機は2020年のコロナ禍だった。老舗製造業の経営者として順風満帆だと思っていた日々が、一気に暗転した。取引先からの発注が激減し、これまで当たり前だった「安定」が崩れ去った。夜中に工場を見回りながら、「このままでいいのか」と自問する日々が続いた。

そんな時、大須を歩いていて偶然入ったのがコンセプトカフェだった。キャストさんたちの笑顔、お客さんとの自然な会話、そこには製造業では感じられない「人と人の温かいつながり」があった。でも同時に、労働環境や安全面で課題も見えてきた。

「ここに、自分の経験を活かせる場所があるかもしれない」

製造業で培った「仕組み作り」の経験。従業員の安全を何より大切にしてきた経営方針。それらがこの業界でも活かせるのではないか。そう考えて、2021年にSUGAR&SPICEを開業した。

正直、最初は失敗の連続だった。製造業とサービス業では全く勝手が違う。お客さんとの距離感、キャストさんのモチベーション管理、SNSでの情報発信。どれも手探りだった。特にキャストさんとの関係性には悩んだ。製造業時代の「上司と部下」の感覚では全く通用しなかった。

転機になったのは、あるキャストさんの一言だった。
「店長は私たちのことを本当に考えてくれてるのが伝わります。でも、もう少し私たちを信じて任せてもらえませんか?」

その時、ハッとした。僕は「守らなければ」という気持ちが強すぎて、逆に彼女たちの成長の機会を奪っていたのかもしれない。そこから、少しずつ任せることを覚えていった。

今では3店舗に成長し、八咫烏舎という支援会社の代表もしている。でも一番うれしいのは、キャストさんたちが「この店で働けてよかった」と言ってくれることだ。お客さんからも「安心して通える店」と言ってもらえる。

製造業時代とは全く違う世界だけれど、根っこにあるものは同じだと思う。「人を大切にする」「信頼される仕組みを作る」「持続可能な経営をする」。業界が変わっても、この軸はブレていない。

42歳で新しい世界に飛び込むのは怖かった。でも、あの時一歩踏み出したから今がある。まだまだ学ぶことばかりだけれど、この道を選んで本当によかったと思っている。