2026.06.06

製造業から大須のコンカフェ経営者へ。42歳の僕が辿った予想外の道

今日は自分の過去を振り返ってみようと思う。製造業の経営者だった僕が、なぜ大須でコンカフェを3店舗も経営することになったのか。その道のりは決して計画通りではなかった。

製造業時代の僕は、毎日工場と事務所を行き来する日々だった。数字と向き合い、品質管理に追われ、取引先との調整に明け暮れる。それなりに充実していたけれど、どこか物足りなさを感じていたのも事実だ。

転機は2020年のコロナ禍だった。外出自粛で街から人が消え、飲食店が次々と閉店していく様子を見ていると、なぜか「何かできることはないか」という気持ちが湧いてきた。製造業は幸い大きな影響を受けなかったが、困っている人たちを見ていられなかった。

そんな時、偶然大須を歩いていて出会ったのがコンセプトカフェという業界だった。若い女の子たちが一生懸命接客している姿を見て、最初は「面白い商売があるんだな」程度の興味だった。でも話を聞いてみると、労働環境の問題や将来への不安を抱えているキャストが多いことを知った。

製造業で培った「仕組み作り」の経験が、ここで活かせるのではないか。そう思ったのが2021年のSUGAR&SPICE開業のきっかけだった。

正直、最初は失敗の連続だった。製造業とサービス業では勝手が違う。お客さんとの距離感、キャストさんとのコミュニケーション、イベントの企画運営。すべてが手探り状態だった。

一番苦労したのは、キャストさんたちとの信頼関係を築くことだった。42歳のおじさんが急にこの業界に入ってきて、「働きやすい環境を作ります」と言っても、最初は当然警戒された。実際に行動で示すまでに時間がかかった。

でも、徐々に「この人は本当にキャストのことを考えてくれている」と理解してもらえるようになった。Mimiを2店舗目として開業し、今年ユメヲカケル!も加わって3店舗体制になった。

アイドル事業のSUGAR SPIRAL LIVEも、最初は「コンカフェの延長」程度に考えていた。でも全国ツアーまでできるようになって、キャストさんたちの成長を間近で見られるのが何より嬉しい。

八咫烏舎として他店のサポートも始めたのは、この業界全体を良くしたいという想いからだ。大須コンセプトショップ協会の理事として、地域全体の発展にも関わらせてもらっている。

振り返ると、製造業で学んだ「品質管理」の考え方が今の経営にも活きている。商品の品質を管理するように、働く環境の質を管理する。顧客満足と同じくらい、従業員満足を重視する。

42歳で業界を変えるのは決して楽ではなかった。でも今は、この選択をして良かったと心から思える。製造業時代とは違う種類の充実感がある。人と人との繋がりを直接感じられる仕事の面白さを、今更ながら知った気がしている。