製造業の親父が、なぜコンカフェを始めたのか。正直に話します。
42歳になった今も、よく聞かれる。「なんでコンカフェなんですか?」って。
毎回うまく答えられなくて、笑いでごまかしてきた。でも今日は、ちゃんと話そうと思う。
僕はもともと、製造業の経営者だ。今も現役でやっている。金属部品とか、工業製品とか、そういう世界で生きてきた。現場の職人さんたちと向き合って、品質と納期とコストの話ばかりしていた30代だった。
その頃の僕は、正直「楽しさ」で仕事をしていなかった。責任感で動いていた。それが悪いとは思わない。でも何かが足りなかった。
転機は、2020年のコロナ禍だ。
製造業も打撃を受けた。受注が減り、先が見えない日々が続いた。そんな時期に、たまたま名古屋・大須のまちをぶらぶら歩いた。グルメ探索のつもりで。
そこで初めて、コンセプトカフェというものに出会った。
最初の印象は、正直「なんだこれ」だった。キャストの子たちが笑顔でお客さんと話して、みんなが楽しそうで。でもそれだけじゃない何かがあった。お客さんの顔が、本当に幸せそうだった。
製造業の現場では、誰かの顔がすぐそこで輝く瞬間を見ることがあまりない。BtoBの世界は、顧客の笑顔が遠い。
それが刺さった。
「この幸せを作る仕組みを、自分ならもっとちゃんと作れるんじゃないか」って、根拠のない自信が湧いてきた。ENFJとかENFPとか、そういう気質なんだと後から知った。アイデアが止まらなくなる感覚は、昔から自分の中にあったやつだ。
2021年、SUGAR&SPICEをオープンした。
めちゃくちゃ失敗した。最初の半年は、本当にひどかった。製造業の経営ノウハウなんて、ほとんど使えなかった。人の感情が動く場所の運営は、部品の管理とは全然違う。スタッフとの関係の作り方も、お客さんとの距離感も、何もわかっていなかった。
キャストの子に何度も泣かせてしまったと思う。申し訳なかった、本当に。
そこから少しずつ学んだのは、「信頼される場所を作ること」の意味だ。好かれる店は一時的なブームで終わる。信頼される店は、人が集まり続ける。製造業で品質を積み上げてきた感覚と、ここだけは共通していた。
今はMimi、ユメヲカケル!と3店舗になった。八咫烏舎という支援会社も作り、大須コンセプトショップ協会の理事もやっている。SUGAR SPIRAL LIVEというアイドル事業で全国ツアーも回っている。
こうして並べると、すごく計画的みたいに見える。全然そんなことはない。転んで、また動いて、の繰り返しだ。
一つだけ変わらないのは、「自分がいなくても回る仕組みを作ること」を目指していること。それは製造業時代から変わっていない自分の軸だ。
キャストの子たちが辞めたくないと思ってくれる店を作りたい。お客さんが安心して来られる場所を作りたい。それだけを考えてきた5年間だった。
まだまだ途中だけどね。

