42歳、気づいたら感謝しかなかった話。
正直に言う。最近、ありがたいなって思う瞬間が増えた。
大須でカフェを始めたのが2021年。最初の店「SUGAR&SPICE」を開けた頃は、毎日が手探りで、正直しんどかった。今では3店舗になって、アイドルの全国ツアーもあって、協会の理事なんていう肩書きもついてきた。
でも、今日書きたいのはそういう話じゃない。
先週、お客さんから手紙をもらった。「この店があって良かった」って、便箋3枚にわたって書いてあった。読んでいたら、なんか泣きそうになった。42歳のおじさんが、カフェの片隅で。
うちの店は、いわゆる「コンセプトカフェ」という業態だ。キャストと呼ばれるスタッフが、お客さんと会話しながら接客する。ただ飲み物を出すだけじゃなくて、人と人との関係性を売っているような仕事だ。だからこそ、続けていくのが難しい。
キャストが辞めていくとき、毎回考える。自分のやり方が間違っていたんじゃないかって。安心して働ける場所を作れているか、常に自問している。稼げる店より、辞めたくない店を作りたいと思ってやってきた。でも、まだ完成には程遠い。
そんな中で、今いるキャストたちが本当によく頑張ってくれている。ユメヲカケル!の子たちが先日、自分たちで店内の飾りつけを企画してきた。Mimiのスタッフは、常連さんが落ち込んでいるのに気づいて、こっそりメモを渡していた。誰かに指示されたわけじゃない。
ああ、こういうことだな、と思った。自分がいなくても動く仕組みを作るのが経営者の仕事だと思ってきた。でも、仕組みじゃなくて、人が動いてくれていた。
音MABUSHIや推し撮りフェスみたいなイベントも、気づいたら関わってくれる人の輪が広がってきた。最初は「なんか面白そうなおじさん」くらいの感じで来てくれた人が、今では一緒に動いてくれる仲間になっていたりする。
大須という街が、そういう人を引き寄せる場所なのかもしれない。ごちゃごちゃしていて、新しいものと古いものが混在していて、なんか居場所がある感じがする。自分が好きな街だ。
食べ歩きが趣味で、よく一人でふらっと大須を歩く。あの路地のたこ焼き屋のおじさんに「最近どう?」って聞かれるのが、妙に好きだ。経営者とか肩書きとか関係なく、ただの常連として話せる時間がある。
完璧な経営者じゃない。失敗もするし、判断を間違えることもある。それでも続けてこられたのは、お客さんが来てくれて、キャストが働いてくれて、一緒にやってくれる仲間がいたからだ。
それだけは、間違いない。
42歳の秋、なんかそういう気持ちになっている。

